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2020.05.20

なぜ新築ではなく、空き家を選んだのか

EXPERIMENT住処を考える
INDEX
  1. 新築に対する価値観が変わった
  2. 増え続ける空き家と向き合ってみる
  3. 田舎には土地があるようでない
  4. 良い空き家をみつけたが、問題は山積み
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EXPERIMENT住処を考える

小さい時から、世の中は新築で建てるのが当たり前の様な風潮を感じていた。
実際、小学生くらいには友人たちの住居がチラホラと新築を建てだしていたのを思い出す。

ほどほどの田舎ではあったこともあり、親の援助(金銭的支援や土地の譲渡)があって比較的、家を建てやすい環境であることは想像しやすい。
僕自身はそういう環境にはなかったけど、それでも漠然と「結婚して子供が出来たら家を建てるんだろうな」という考えは頭のどこかにあった。

新築に対する価値観が変わった

3.11以降、家に対しての考え方が変わった。
主に以下3つことが今もなお、家に対しての価値観である。

  • そういった漠然とした考えは社会によって刷り込まれたものだと気づく
  • 震災で自分の責任以外のところで家が無くなることへの金銭的リスクを感じた
  • 家を構えると身動きが取れにくくなる

『一国一城の主人』という名コピー

なぜ家を建てるのが当たり前になったのだろうかと考えた時に、『一国一城の主人』という言葉が頭をよぎった。 武家社会〜戦国時代の「自分の国を構える(=国の象徴となる城)」という野心が未だ日本人(特に男性)のどこかDNA的に刻まれている気がする。 これを刺激するにはこれ以上のないキャッチコピーだと思う。下手したら何世紀もこの言葉は使われているのではないだろうか?

高度経済成長期による経済成長やハウスメーカーの思惑も手伝って、新築至上主義が生まれたと思う。 その煽りをずっと受け続けているのでは?と考えた時に、自分の意思をコントロールされているような気がして考えを改めるようになる。

大災害には勝てない

津波で流されたり、土砂災害で崩れたりと自然の前ではどうしようも出来ないことがある。
近代に入って10年に1度以上、大きな災害が日本のどこかで起きていることは事実で、あり得ないことがあり得ないとさえ思っている。
保険で賄えられば良いかもしれないが、半壊とか中途半端なことが起きた時が一番の地獄だったりしそう。

ローンという呪縛が、移動を不自由にする

災害や何かしらのトラブルが起きた時、そこを離れるのが最も簡単な解決策だ。
しかしローンに縛られてしまうと、建てた家に住むことが最短の返済手段なので手放しづらい。「貸せば良い」という選択肢もあるかもしれないが、トラブルによって離れたいと思うような家を借りたいという人はどれだけいるだろうか?

そもそも30年以上先もそこが終の住処である保証もないし、そこまで考えて建てている人はどれだけいるのだろうか?
30年後に売るほどの価値は残るような家を建てられれば良いのだが。

増え続ける空き家と向き合ってみる

世の中、実は空き家は多いし増え続けている。

都市の場合、二世帯住宅という思惑は見事に外れ、子供たちは独立する。 そりゃ子供だって「自分の家」が欲しいわけで好き好んでボロくなった家に、しかも親と一緒に住みたいわけがない。

田舎の場合、便利な場所を求めて出ていく。 うちの集落も独立した子供たちは、山を降った土地で自分の新しい家を構えている。 戻ってくることはほぼないと言っていい。

世間でもしばしば空き家の問題が取り沙汰されるようになった。 実際に田舎にきてこういった現状を目の当たりにして、活用することで新築至上主義からの脱却を社会に提示できるのではないかと思い、空き家に住むことを検討し始めた。

田舎には土地があるようでない

「何を言っているのか?」と言われそうだが、都市の人から見える広がった土地は大体が農地で、宅地では無いわけです。そう、家を建てられる土地が。

今の集落も土地は広がっているが、ほとんどが農地。農地の隙間に家が立っている。 もちろん農地を宅地に変えることは可能ではあるが、ハードルは高い。 ましてや親族でもない人間から宅地転用の為の土地を明け渡してもらうのも、やはりハードルが高い。

そういうことからも、既に建っている家かつ住んでいない家=空き家を選ぶという選択が僕にとっては早そうだった。

良い空き家をみつけたが、問題は山積み

そして今の集落に住むと決め、本格的に家探しを始めたが住むまでには時間がかかった。

  • アタリをつけた家の持ち主がどこにいるかわからない
  • 住むには大きな改修が必要そう
  • 改修できる建築士・工務店・大工が付近にいない
  • 改修費用が想像つかない〜お金の工面
  • どういうリノベーションが独自性を出しつつ、他者にも再現性を持たせられるかを考える

こういった問題や課題がたくさんあったが、これらについては別の機会に。