『彼らは田舎で自分探しをしている』
これは個人的にここ数年モヤモヤを晴らしてくれる解だった。

以前、岡山へ旅をした時のことだった。
当時、瀬戸内市の地域おこし協力隊としても活動していたココホレジャパンのかっさんとその妻でライターのアサミに仕事も兼ねて会いに行った。
彼らと昨今の地域おこし協力隊についての事から転じてローカルを目指す若者たちの話をしていると、その的を得た答えが出てきた。

もちろん若者全てに当てはまるわけではない。
しかし僕の近くの範囲でも大学を出て社会に出ず、または1〜2年程度の厚みのない経験を持ってローカルを目指し、挫折する人を見たり聞いたりする機会が多い。

おっさんの嫌な物言いにはなるけれど、社会に出るという事から目をそらして聞こえのいい「地域創生」に駆け込んでいるんだけな気がする。

冷静に考えて新卒が会社で直ぐには何もできないのと一緒で、ましてや田舎に行ったら指示やフォローをしてくれる上司もいないところで何かを生み出すなんて出来るわけがない。

だからといって、「じゃあ行くな!」とは思わない。
現に大学を卒業してそのまま愛知県のとある田舎に地域おこし協力隊として入り、3年で生業=事業を起こして土地に残って暮らし続けている女の子を知っている。

まずは自分が何ができるのかを認識してほしい。
仮に大学のフィールドワークだったり支援事業のインターンの経験を自分の実力と勘違いしないでほしい。
それはあくまで周りの経験値がある大人が活動しやすい場をお膳立てしてくれていて、あとはそれに乗っかっただけの話。大変なのはその場を自分で本当に作れるかどうか?という事だと思う。

少しの経験を誇大化せず、社会性や経験が足りないということ。
最初はまわりにフォローしてくれる人がいない(少ない)ということ。
いきなり飛び出してしまう子達はそういう自覚がないわけで、地域に入って色々と打ちのめされてようやく自分の無力さに気付きだす。
そして地域に入ってからだとどうしようもなく、日々の御使いのような仕事に只々時間だけが流れていき最初に思い描いていた想いは幻想と化していく。

想いを実現化するためには初めに事業計画的なものは用意すべきで、協力隊として自分が他者にやろうと思っていることをきちんと伝える責任があると思う。
最低でもそこそこの人が「なるほどね」と思ってくれるようで無ければ、もちろんそれがその通りに進むわけはないにせよソコに期待を持ってくれなければ誰も手を差し伸べてくれないし、協力が無ければ話にならない。

そして若い人たちは何のためにローカルを目指すかを今一度考えてほしい。
田舎は間違ってもあなたたちの力を試す実験場ではない。
そもそも腰かけ程度に暮らすのであれば、協力隊の根本からずれているし誠実さなんてそこにはない。

外から来た人は挫折しても元いた場所に戻ったり、違う場所に移ればいいかもしれない。
しかしそれによって、元々緩やかに狭まっていくかもしれないが穏やかに暮らしていた地の人は荒らされて去られることで、”取り残される”という本来遭遇し得なかった現実を突きつけられ悲しい想いをするのである。もしくは憎しみすら湧くことだってあり得るし、次にくる本当にいい人材が逆風から入る羽目になるのである。

挫折することは勝手だが地の人や次にくるかもしれない優秀な人材にまで迷惑をかけることだけは、僕自身いわゆる地域創生にも少し関わり、また田舎のコミュニティやコミュニケーションの研究をする身として最も許せない行為だと考えている。